大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)3996 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名弁護人池辺甚一郎の上告趣意及び同弁護人鍛治利一の上告趣意は後記

のとおりである。

弁護人池辺甚一郎の上告趣意第一点(一)ないし(九)について。

所論の詳細に述べるところは、すべて情状を挙げて原判決の量刑不当を主張し執

行猶予を求めるのであつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。

所論は、原判決が訴因変更の手続を経ないで起訴状に記載されていない事実を認

定した違法があり、高等裁判所の判例に違反すると主張するのであるが、かかる理

由は原審において主張されずまた原判決の判断するところでもない。原審における

所論の弁護人の控訴趣意は、なんら訴因の点に言及するところなく、第一審判決の

事実認定と引用証拠にくいちがいのあることを攻撃したのであつて、原判決はこれ

に対し、被告人等は初めから洋服生地を売渡す意思がないのに拘らず売買を装い代

金名義の下に金員を騙取することを謀議しこれを実行したのであると認定し、被告

人等の目的が代金名義の金員であるか売買した洋服生地であるかは、被告人等の主

観的な事項であるから被害者はこれを判別するに由なく、従つて被害顛末書に洋服

生地が記載されてあつても原審(第一審) の事実認定を妨げるものでなく、理由

にくいちがいがあることにもならないという趣旨の判断をしたに止まり、訴因とさ

れていない事実について有罪の認定をしてもいいというような判断をしていないの

である。従つて原判決は論旨引用の判例に反するところはない。また仮りに第一審

において訴因変更の手続に関し所論のような違法があつたとしても、刑訴四一一条

を適用し原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは到底認めることはで

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きない。

同第二点について。

所論は、原判決に擬律錯誤の違法があると主張するが、帰するところ原審の事実

認定と異なる独自の見解に立つ主張であつて、いずれにしても刑訴四〇五条の理由

にあたらず、また同四一一条を適用すべき事由とも認められない。

同第三点及び第四点について。

第三点は事実誤認又は刑訴法違反の主張であり、第四点は量刑不当の主張であつ

て、いずれも刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

その他記録を調べて見ても刑訴四一一条を適用すべき事由は認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年五月一二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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